大学病院を担当するMRが知っておくべき最低限のこと

こんにちは、きよまさです。

MR経験を積んで一人前になれば、大学病院の担当を任されることもあるかと思います。

しかし大学病院の数はクリニックのように無数にあるわけではなく、その数は限られています。

日本の大学病院は国公立と私立を合わせて82大学しかありません。

つまり、大学病院を担当するMRの数もそれだけ限られてくるという事になります。

1,500人のMRが在籍している製薬会社であれば、約5%のMRのみ担当できると言う計算になります。(領域制を敷いている会社であればもう少し増えます)

あなたは大学病院を担当していますか?

もしあなたが大学病院を担当しているMRであれば、それは社内である程度の実績を出し、評価されているMRだと察します。

大学病院は担当しなければ分からない仕事の面白みややりがいがあります。

あなたは大学病院を担当しているからと言ってふんぞり返っていませんか?

大学病院を担当するMRは多くの疾患知識と自社医薬品の勉強する事が求められます。

そしてDrや組織を知ることも大事です。

大学病院で働いているDrは大きな組織の一員で、サラリーマンと似ているところがあります。

そこで今回は大学を担当する(している)MRが最低限知っておいた方が良いことを解説していきたいと思います。

相手のことを知ることで、営業戦略も立てやすくなりますよ。

➢大学担当のMRは出世するのか?について解説した記事はこちら

➢大学病院を担当するメリットを解説した記事はこちら

大学病院の役割とは?

大学病院には3つの役割があります。

それは「臨床・研究・教育」です。

臨床とは

臨床とはザックリ言うと患者さんを治療するという事ですね。

大学病院にはクリニックや病院では治療することが難しい患者さんが集まってきます。

まだ治療法が確立していない疾患を患った患者さんに対しては、患者さんの同意のうえ、日本で上市されていない医薬品や機器などを使い、治療することも珍しくありません。

研究とは

医学研究には基礎研究、臨床研究、疫学研究があります。

基礎研究は、病気の原因や治療効果を調べるために、主に細胞やマウスなどを用いて実験室で行われる研究です。

臨床研究は実際の患者さんに対して医薬品の有効性や安全性を研究することです。

疫学研究は、大規模な人口・集団を対象とし、病気の発生率や、検診やワクチンの予防効果などを統計学的に調査する研究のことです。

大学病院等で行われる研究成果によって、今まで分からなかった病気の原因や治療法が明らかになり、創薬に役立つことも多々あります。

中には大学病院からベンチャー企業が生まれることもあり、アンジェスは大阪大学から誕生した企業ですね。

➢アンジェスについてはこちらで解説しています

そして先生たちは研究成果を論文で発表していきます。

論文はどの医学雑誌に掲載されたのか?も重要になってきます。

それぞれの医学雑誌にはインパクトファクター(以後IF)というものがあり、このIFをどれだけ獲得したのか?はDrの研究実績を図る物差しの一つになります。

IFは一言でいえば、学術雑誌の影響度や引用頻度の指標となるスコアになります。

教授戦で勝ち抜くためにはこのIFをどれだけ獲得してきたのか?も重要です。

IFはプロゴルフ選手がどの大会で優勝したのか?の実績に近いものがあります。

最近、松山選手がマスターズで優勝し内閣総理大臣顕彰を受賞しましたよね。

これは世界のプロゴルフ選手が優勝を目指す4大メジャー大会で日本人が初めて優勝したという偉業を達成したからこそだと思います。

例えば臨床医学・基礎医学で世界的に有名な雑誌はNew England Journal of Medicine (NEJM)でそのIFは74.7です(2020年時点)。

日本でIFが高い医学雑誌でもせいぜい4~5なのでNEJMがどれだけ凄いのかはDrならだれでも分かると思います。

きよまさ

医学界のマスターズですね笑

IFが1の医学雑誌に50回掲載されるよりもNEJMに1回掲載された方がもらえるIFは高いという事になります。

ただし、NEJMに掲載されることは簡単ではありません。

質の高い研究成果を出さないといけませんし、ライバルは全世界の医学者になります。

しかも英文で出す必要があるので、医学英語の勉強もしないといけません。

もしNEJMに掲載実績がある先生を担当していたら、その先生はとんでもない実績を持っているんだ!と思って間違いありません。

そして、論文には多くの先生方の名前が掲載されています。

先頭の先生がその論文の1stAuthor(筆頭著者)です。

筆頭著者は、研究デザインを設定し、研究の進行に大きく貢献し、論文を執筆した先生で

2ndAuthor(第二著者)は筆頭著者を補佐してくれた直属の上司あるいは部下、二番目に貢献度が高い人が記載されていることが多いです。

そしてlast author(最終著者)の多くは組織のTOPですので教授というケースが多いですね。

きよまさ

論文を見るときは1stAuthorは誰なのか?2ndAuthorは誰なのか?を見ることで人間関係を見れます

教育とは?

一般的に肩書が講師以上の先生は学生に講義を行っています。

たまに委託されて講義をしている先生もいますが、一般病院やクリニックの先生が学生に講義を行うことは稀です。

きよまさ

大学病院の先生は学生に講義も行っている教育者であることを念頭に置いておきましょう!

そして、大学病院を担当する上では、医者になるまでの大体の流れも知っておくべきだと思います。

意外にもこれをよく知らないMRが多いと言うのも現状です。

こちらが医者になるまでの流れになります。

なんと専門医になるまでに最低でも11年の年数が必要なんです。

そして医局によって年次は異なりますが、専門医取得後に大学院に進学するのか?大学病院に勤務するのか?関連病院に行くのか?などを決めていきます。

大学病院に所属する先生の肩書

それではここから大学病院でよく見る肩書の意味を解説していきます。

教授

もはや説明不要ですね。医局内でTOP地位の肩書で、専門分野の研究をすることだけにとどまらず、大学の運営に携わっています。学会などの重要ポジションについている先生方はほとんどどこかの大学病院の教授です。そういった先生方はKOLとも呼ばれています。

KOLとはKey Opinion Leaderの略で、医療業界で多方面に影響力を持つ医師のことを指します。こういった先生たちへの活動はとても重要です。

准教授

医局内でNo.2のポジションの先生です。教授と同様に自分の専門分野の研究を行うのが仕事ですが、大学の運営にはかかわりません。

講師

准教授の下にいるポジションです。講師は自分で講義を行い、医局内での存在感も大きくなってきます。

助教/助手

講師よりも下のポジションで、アシスタント的な仕事が中心です。助教/助士は自分の講義は行えませんが、手伝いはできます。

大学病院を担当していると寄付講座たるものを見かけると思います。

寄付講座とは?

大学病院が民間企業や個人からの寄附で期間を定めて、研究を行う組織みたいなものです。

ここに所属している先生方には「特任」という肩書がついていることが多いです。

特任助教や特任教授などですね。

製薬会社も創薬のために寄付を行い、講座を開設していることも多々あります。ただし以前よりも寄付をする製薬会社が減ってきており、日本の大学病院の研究レベルの維持が危ぶまれています。

最近では三重大学事件によって製薬会社と大学病院の関わりに社会的関心が集まっていますので、ますます厳しくなっていく可能性があります。

➢三重大学事件について解説した記事はこちら

Drのことを知るために役立つ論文検索サイト

Ciniiで先生の論文を調べる

Ciniiは日本の論文検索サイトです。

➢Ciniiについてはこちらの記事でも解説しています。

医学論文だけではなく、様々な日本の論文を無料検索できる優れた論文検索サイトです。

こちらで担当する先生の名前を入力し、検索を行うことで、どういった論文を発表しているのかが一発で分かります。

https://ci.nii.ac.jp/

またこのCiniiは博士号論文も検索できます。

何の研究で博士号を取得したのかを知ることで先生の専門分野をさらに深堀って知ることができます。

先生の専門分野を知ることはとても効果的です。

誰が自社医薬品に興味を持ちそうなのか?推測がある程度できるようになりますし、会話の中で違和感なく切り出すことで、「このMRは自分のことをよく調べているな」と評価されますよ。

pubmedで先生の英語論文を知る

これもCiniiと同じく、相手のことを知るためには効果的です。

➢pubmedについてもこちらの記事で解説しています。

PubmedはCiniiでは調べることができなかった英語論文を検索する事ができますので、どういった雑誌に掲載されているのか?研究テーマは何か?2ndAuthorは誰なのか?に注目してみましょう。 

Pubmedはサイト、論文などすべてが英語ですが、Google Chromeだと自動翻訳機能がついていますので、ずいぶん楽になるのでおすすめです。

大学病院を担当するMRが知っておくべき最低限のことのまとめ

大学病院に在籍している先生たちには様々な役割があり、未来を支える医者を育成する教育者としての立場でもあります。

教授を目指して研究に勤しむ先生もいれば、医局と言う組織に馴染めず、退局して開業したり、関連病院ではない病院に就職する先生など様々です。

大学病院を担当することになったら、先生方は教授を頂点とした巨大な組織に所属しているんだということを頭に入れながら営業していくことが大事です。

そして組織を知ることも大事ですが、先生個人のことを知ることも大事です。

製薬業界に関わらず営業マンは相手を知ってナンボのところがありますからね!

先生のお財布事情について知りたい方はこちらの記事で解説しています。

教授

お忙しいところ最後まで読んで頂いてありがとうございました!

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