現役MRが医薬品卸の談合問題でこれから起きることを予想してみる

こんにちは、きよまさです。

アルフレッサ、スズケン、東邦がJCHOの入札で談合していたとして、

独禁法違反で告発されてしまいましたね。

メディセオもこの談合に関わっていましたが、

課徴金減免制度(リーニエンシー)に基づいて事前に違反を自主申告したため、告発されなかったそうです。

これはこれでどうなんだろうかと思いますが。

もしメディセオがこの結末を予想して仕掛けていたとすると相当腹黒です。

今回メディセオは告発されませんでしたが、何らかの罰を与えられそうな気もします。。

今回の告発はTVニュースでも報道され、社会的にも注目されています。

こうなってくるとメーカーも含めて医薬品業界全体でこの悪しき慣行を撲滅させる必要があります。

ただこれは医薬品卸だけの問題ではないと思います。

医療機関側の過度なバイイングパワーを削っていかなければ

医薬品卸は日本から消えてしまいますよ。

医薬品卸は利益率1%のスーパー薄利多売状態ですから、このままいくと医薬品卸は総崩れです。

何の目的で談合が行われたのか?

ずっと昔から製薬会社から医薬品卸にリベートが支払われています。

リベートとは薬価差益とは別に売った分だけ製薬会社からお金が貰える仕組みです。例えば、Aと言う医薬品を10箱売ったら100円、100箱売ったら1,000円製薬会社から医薬品卸に払われます。

これは医薬品卸にとっては貴重な収入源です。

こういった施策を主要な製薬会社は医薬品卸に設定してお金を支払っています。

このリベートを獲得するために会社からMSにきっついプレッシャーがかけられます。

MS時代は本当にきつかったことを思い出します。

しかし、病院販路はこのリベートは基本的にありません。

主に開業医販路です。

今回の談合問題は単に売上と利益を維持することを目的として行われていたものと思います。

医薬品卸も規模の経済が働いてきますので、

売上規模が大きくなればなるほど利益が上がります。

JCHOなどの全国規模のグループ病院の売上を維持することはとても重要です。

ただ、医薬品の流通には売る側と買う側が存在します

買う側とは病院です。病院はなるべく安く医薬品を購入して利益を出したいと思うのは当然です。

全国規模の病院の入札制度に参加できるのは基本的に全国の広域医薬品卸です。

報道にあったように今回の談合問題に関わった医薬品卸は4社です。

4社もあれば普通は価格競争が起きます。これは市場原理からも当然です。

しかし、談合すればこの価格競争は避けることができ、

今までの売上規模の維持とひょっとすると値上げして利益を上げる事だって可能です。

しかし談合は絶対ダメです。

ただ、談合しなければ医薬品卸はますます経営が厳しくなる

もともと利益率が高いビジネスモデルだと良いのでしょうが、利益率は1%を切るほど低いんです。

➢利益率の低下によりMSの将来性がどうなるのか?についてはこちら。

こういった状態が続くと➢MSのリストラも始まるはずです。

今回の談合問題は決して許される事ではありませんが、

医薬品卸の立場に立てば、分からなくもないって感じです。

個人的には病院側のバイイングパワーがどれだけあったのかは気になるところですね。

1回きりの入札だったのか?それとも執行猶予付きで何度も入札をさせたのか?

過度な価格競争が起きる典型的なパターンは、何度も見積もりをとるというパターンです。

例えば薬価100円の医薬品があるとして

病院

A社はこの医薬品を85円で価格を出してきたよ。B社は87円だけどもっと下げれるかい?

B社MS

分かりました!84円でお願いします!

病院

B社はこの医薬品を84円で価格を出してきたよ。A社は85円だけどもっと下げれるかい?

A社MS

分かりました!83円でお願いします!

こんな感じで価格がどんどん下がっていきます。

街の調剤薬局やクリニックだと価格だけではなく、

MSの日頃の頑張りや付き合いなども考慮してくれますが、

大きい病院だとそういう事は一切ありません。

価格が重視されます。だから病院を担当しているMSのやりがいって感じにくいのか知れません。

➢病院を担当しているMSの価値についてはこちら

やり手の事務長だと医薬品卸のビジネスモデルを上手く利用して価格を下げていきます。元MSの方にそういう人が多いイメージです。

納入価格を1円でも安く買いたい病院

VS

価格競争に勝つために納入価を安くせざるを得ない医薬品卸

この構図は圧倒的に買い手が強いんです。

きよまさ

どこから買おうが医薬品は全く同じですからね。従来の医薬品卸のビジネスモデルは限界に近いのか知れません。

これからどういう事が起きてくるのか?

結論は製薬会社による医薬品卸の絞り込みが増えてくると思います。

今年に入ってGSKがメディセオとの取引を停止しました。

➢GSKがメディセオと取引停止する理由についてはこちら

そして今回の談合問題が社会的に問題となりました。

内資系大手も追随してくる可能性もあります。

➢内資系製薬会社で絞り込みを最初に始める会社はここかも?

医薬品卸ごとに取り扱っている医薬品に違いがあれば、

過度な価格競争は起きず、利益率の悪化を防ぐことができます。

例えば、ファイザーはメディセオ、MSDはスズケン、第一三共は東邦、

などで絞り込みを行っていくのは一つの手です。

病院側からすれば薬価差益で儲けを出すことが困難になりますが、

診療サービスを充実させて患者が集まるような努力をして収益を上げる努力をする必要があります。

患者さんに評価してもらえるよう病院に変えていくなど、経営の視点を変えていくべきでしょう。

国も薬価を決める判断材料に市場実勢価格を入れないなど代替案を考える必要もあると思います。

医薬品卸だけが悪者みたいになってしまうと国民に医薬品の安定供給をしている医薬品卸が潰れていしまいます。

災害時に医薬品を安定的に供給できるのも医薬品卸のみなさんが頑張っているからです。

これから薬価は毎年下がります。

しかも売れすぎたら薬価を特別に下げるという市場拡大再算定ルールも導入されています。

製薬会社と医薬品卸側に圧力をかけ続ければ日本の医薬品産業が衰退し、

強いては医学研究もますます世界から後れを取る事態になっていまいます。

きよまさ

医療は患者さんのためだということを今一度認識を改めるタイミングですよね。

医薬品卸の談合問題でこれから起きることを予想してみるのまとめ

今のビジネスモデルを変えない限り、医薬品の利益率は向上しないし、

むしろどんどん悪化していくと思います。

これから製薬会社による医薬品卸の絞り込みが始まっていくと思いますし、

そういう噂も聞いています。

しかし、これは医薬品卸だけの問題として捉えるのではなく、

国を始めとして医薬品業界全体の問題として捉えていかないといけません。

医薬品の安定供給ができなければ困るのは患者さんです。

日本において医薬品の安定供給の中心を担っているのは医薬品卸です。

今回の談合問題は決して許される事ではありません。

談合問題に関わった医薬品卸だけを罰してお終いにするのではなく、

もっともっと根本的なところを変えていかないと何も変わらないと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました!

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