またまた卸の談合疑惑で若いMSさんが本当に気の毒だし、医薬品卸はビジネスモデルを変革しなければいけない

こんにちは、きよまさです。

11月9日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

マジでビックリしました!

引用元:Yahooニュース https://news.yahoo.co.jp/articles/bd528c4825e48c415d5bcf94817cd8a224a4dfa0

昨年もJCHOで医薬品卸の談合が行われていたとして大騒ぎになりました。

本ブログでもこちらの記事で昨年の談合事件について紹介しています。

そして今回もまた九州の医薬品卸で談合が行われていたという疑惑です。

しかも相手は国立病院機構です。

国を相手に談合するとは大胆すぎます!

今回調査が行われているのは以下の6社です。

●アステム

●アトル

●翔薬

●九州東邦

●富田薬品

●アルフレッサ

この6社だけで九州のシェアは80~90%あるんじゃないですかね。

もしも本当に入札時に談合をしていたとなれば、これはもはや氷山の一角なのかもしれませんね。

卸と価格交渉をしているのはJCHOや国立病院など大きい病院だけではありません。

街のクリニックや薬局だって卸と価格交渉をしています。

国立病院機構やJCHOは確かに規模が大きく全国に及びますので、売れ筋の医薬品を入札できるかどうかでグループ全体に対する影響は計り知れません。

だけどね・・・。

やっぱり談合はダメっすよ・・・。

しかし、犯罪だと分かっていてもなぜ談合をしてしまうんでしょうか?

今回は談合をしないといけない理由を深掘りして、これからの医薬品卸のビジネスモデルについて個人的な提案をしたいと思いますのでお付き合いください。

医薬品卸が談合するわけ

医薬品業界で働いている人は察しがつくかと思いますが、単純に売上維持と利益確保のためです。

今回は医薬品大手のスズケンを例にとって医薬品卸の現状を分析してみます。

スズケンの売上高は2021年度はなんと2兆1,282億円です。

2兆円企業ですよ!?

あの任天堂よりも売上規模は大きいんです。(任天堂の2021年度売上高は1兆7,589億円)

日本全体の企業の中でTOP100に入ってくるほど売上高はデカいんです。

しかし医薬品卸のビジネスモデルの問題点は営業利益率が超絶悪いというところです・・・。

スズケンの2021年度営業利益率はたった0.43%です。

100万円の売上で4300円しか利益が出ません。

MRの営業日当2日分程度です!

飲み会1回分です!

説明会のお弁当2個分です!

任天堂の営業利益はとても良いので比較するのは無理がありますが、なんと36.42%です。

ちなみ全国展開している他の医薬品卸の営業利益率は

●アルフレッサHD 0.79%

●メディセオHD 1.42%

●東邦HD 0.39%

です。

つまり医薬品卸のビジネスモデルは儲かりにくい業界であることが分かります。

次にキャッシュフローの推移を見てみます。

決算資料で「営業活動によるCF」を見ると一目瞭然です。

スズケンの2021年3月期の営業活動によるCFは「156億200万」、2020年3月期は「-258億1700万」です。

つまり2兆円も売上を叩き出しているのに、企業内に現金が大きく貯まっていかないんですよね。

これは医薬品卸全体に共通しています。

儲からないビジネスモデルだから、少しでも利益を出すために、談合が行われたと見るのが自然です。

ではなぜこんなにも儲からないんでしょうか?

医薬品卸は利益をどうやって出すの?

画像引用元:薬局経営NAVI URL:https://yk-navi.jp/column/464/

ここ最近は医薬品卸の一次利益がマイナス状態になっています。

まずは画像赤枠で囲ったところを見て下さい。

卸から薬局に販売する医薬品の納入価はメーカーからの仕入原価を下回った状態です。

大きい病院などは一括購入などを行っていますので、さらに納入価が安い状態です。

今回の国立病院機構やJCHOなどはおそらくこの納入価が相当低いと想像できます。

仕切価よりも納入価が安いといわゆる「売れば売るほど赤字」状態に突入です。

今まさにこういった事態になっています。

画像引用元:薬局経営NAVI URL:https://yk-navi.jp/column/464/

続いて画像右の赤枠を見て下さい。

こちらが医薬品業界の特殊な商習慣です。

販売実績に基づいて製薬会社から卸にリベートやアローワンスが支払われます。

「リベート」とは製薬会社から卸に対して、取引量や仕入代金の支払条件、納品方法などに応じて、値引や代金の割り戻しを行うことをいいます。

「アローワンス」は販売促進にかかる報奨金のことで、医療機関に販売した実績に基づいて支払われているケースが多く、販売促進費の修正として扱われます。

引用元:薬局経営NAVI URL:https://yk-navi.jp/column/464/

このリベート・アローワンスがあるからメーカー仕切価よりも安い納入価で販売し、採算がなんとかとれている状況です。

生活習慣病薬が全盛の時は、製薬会社は多額の「アローワンス」を支払っていました。

なぜなら高血圧薬やスタチンなど、どれを使っても有効性と安全性があまり変わりませんので、結局はコール数(医者にどれだけ名前を覚えてもらえるか?)が勝負どころだったからです。

製薬会社から卸に

「うちのお薬を先生方に言ってくれたら1軒あたり1,000円支払いますよ」

「MRと同行してくれたら1軒あたり5,000円支払いますよ」

「MRと一緒に勉強会をしてくれたら1軒あたり1万円支払いますよ」

こんな感じで、各社から多額のアローワンスをゲットできていました。

私もMS時代の時はよくMRさんと同行や勉強会をして、報告していたことを覚えています。

アローワンスが低下している理由

最近はアローワンスが以前のようにもらえなくなっているようです。

その理由はこうです。

●後発品の普及

●新薬がスペシャリティ薬だらけ

後発品の普及

最近は新薬の特許が切れた瞬間に後発品に切り替わります。

もう容赦ありません。

MRがいくら先生と仲が良くても関係ありません。

もうバッサリです。

秒です。

昨日まで愛し合っていた彼女から突然別れを切り出されてしまうようなもんです。

後発品は基本的にはどの薬剤も同じなわけですので、どれが採用されるかは納入価次第です。

(最近では後発品メーカーの安定供給問題から納入価が安くても採用されないことも多々あります)

元々の薬価が安く、さらに納入価も安いとなれば、単価利益は当然下がります。

そして後発品メーカーから支払われるリベートやアローワンスは先発メーカーと比べて安いことが知られています。

つまり後発品が普及すればするほど医薬品卸の利益率は悪化していきます。

ちなみに後発品MRに転職することだけはおすすめしませんので・・・。

新薬がスペシャリティ薬だらけ

最近発売される新薬のほとんどはスペシャリティ薬です。

たとえばオンコロジー製品や希少疾病薬などですね。

こういった薬剤は病院市場が中心となります。

そしてMRがターゲットにしているのも病院の専門医です。

こういった薬剤の売上を伸ばすためにはMSからのコール数はあまり必要としません。

大きい病院を担当しているMSさんもDrには面会していませんしね。

病専担当のMSさんの価値は違うところにあると思っています。

製薬会社の開発パイプラインはスペシャリティ薬に舵を切っています。

これから出てくる新薬はほとんどがスペシャリティ薬になります。

こうなってくるとアローワンスはほぼ発生しないようになってしまいます。

じゃあ医薬品業界はどう変わっていけばいいのか?

このまま行くとはっきり言って医薬品卸は持ちません。

今回、国立病院機構の談合疑惑が報道されましたが、現時点では白か黒かどっちか分かりません。

だけど白でも黒でも卸間の価格競争が今以上に激しくなるのは間違いないと個人的に思います。

JCHOの談合事件以来、現場での価格競争は激しくなり、入札結果による帳合変更などが発生しています。

こういった状況でさらに国立病院機構での談合疑惑です。

もういくらブレーキをかけようとしても止まらない江頭2:50状態になっていきます。

医薬品卸を救うためにも医薬品業界の商習慣を変革しないといけないタイミングに来ていると思いますし、卸も医薬品以外のビジネスに活路を見出していくしかありません。

実際に大手医薬品卸はヘルスケア領域に活路を見いだそうとしています。

最近では医薬品によっては1社流通性を敷く製薬会社も出てきたり、GSKなどはMSとの関係をばっさり切っています。

個人的な意見ですが、

●製薬会社は卸の絞り込みをもっと促進してみてはどうか?

●アローワンスとリベートを撤廃して仕切価そのものを下げてみてはどうか?

と思います。

製薬会社による卸の絞り込み

外資系企業を中心に卸の絞り込みは始まっています。

だけどやっぱり内資系企業が始めないと進んでいかないと思うんですよね。

内資系企業でもそういった動きがあるということは噂レベルですが聞いています。

卸の絞り込みを行うことで、過剰な価格競争は今よりは避けられるんじゃないかな?

ただしこれを促進すると地場卸は窮地に追い込まれます。

だけどそれはもう仕方がないことなのかもしれません。

ここは天下の厚労省様がM&Aをサポートして、地場卸で働く社員を守っていくことを期待します。

アローワンスとリベートの撤廃

このアローワンスとリベートが仕切価を切った価格競争が起きる一因だと思います。

各卸によってアローワンスとリベートは違うでしょうし、多額のお金をもらっている卸が有利になります。

仕切価を切って見積もりを提示するけど、アローワンスとリベートを含めれば採算が取れるギリギリのラインが各社によって違うはずです。

このラインが高い卸ほど価格競争に弱くなります。

だけど無理して価格を出している。

その結果、収益が悪化し、人件費を削減したりしています。

スズケンやメディセオグループが早期退職を実行したのは記憶に新しいところですよね。

ここは思い切ってアローワンスとリベートをバッサリ切って、仕切価を下げてあげたらどうかなと思います。

もちろん各卸の仕切価は統一で。

卸の絞り込みと古い商習慣の撤廃。

製薬会社と厚労省がリードして医薬品業界を改革していく必要が大いにあるのではないか?

そんな風に思います。

今の状態は若いMSさんがかわいそう

今回の国立病院機構の談合疑惑はYahoo!ニュースなど多くの媒体で報じられました。

TVでも報道されています。

今回報じられた会社で働く若いMSさんは親御さんからも心配されているんじゃないかな。

そしてこのまま古い商習慣が続けば、ますます価格競争が起きます。

そうなると人件費にメスが入り、給料は上がっていきません。

むしろ給料が下がった卸もあると聞いています。

MSの年収についてはこちらの記事で紹介しています。

若くて未来のあるMSさんが自分は何も悪いことはしていないのにそういった疑いの目で得意先から見られてしまう。

この報道に便乗して価格交渉を強めてくる病院や薬局がきっと出てくるはずです。

「この価格は談合して決められたんじゃないんでしょうね?」

「もっと価格を下げてきなさい」

「そうでないと取引停止にするよ?」

談合までして価格を守ったけど、それが明るみに出て、末端のMSにまで影響が及び、そして市場全体で見れば、価格は守られない。

もう負の連鎖です。

若いMSさんは医薬品卸に見切りをつけてさっさと転職した方が良いかもしれません。

MSさん向けのおすすめの転職サイトはこちらの記事で紹介しています。

転職サイトに登録するのが面倒な人は自分の市場価値がいくらなのか?を見ておくのもおすすめです。

自分の年収が高いのか?安いのか?が無料で診断できますよ。

市場価値診断なら、ミイダス!

またまた卸の談合疑惑で若いMSさんが本当に気の毒だし、医薬品卸はビジネスモデルを変革しなければいけないのまとめ

予想しておきます。

これから九州だけではなく、全国でますます価格競争が激しくなることを。

来年4月には薬価改定です。

そのタイミングでまた価格交渉が始まります。

しかもこれが毎年です。

ますます拍車がかかります。

その結果、地場卸までにもリストラが波及していくと思います。

本当にMSさんが大変です。

価格競争以外にも後発品の供給停止による代替品の手配、謝罪など予期せぬハプニングが多すぎます。

私の知人は30代ながらもストレスで体を壊して入院してしまいました。

心身ともに疲れ果てて体を壊さないように気をつけてください。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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