「医薬品卸で働くMSの年収ってどれくらいかな?」
「医薬品卸に就職しようかな?」
医薬品業界の職種の一つにMSがあります。
医薬品卸業者の営業マンです。
その営業マンがMSと呼ばれています。
MSとはマーケティング・スペシャリスト【Marketing Specialist】の略です。
企業はメディセオ、スズケン、アルフレッサ、東邦などが有名です。
製薬会社で働くMRと医薬品卸で働くMSの違いについてはこちらの記事で解説しています。
医薬品業界の営業の年収を見るとMR〉医療機器〉MS〉配置薬って感じです。
ではMSの年収ってぶっちゃけどれくらいあるんでしょうか?
下記は転職サイトdodaのHPにある「医薬品卸」の年収です。
こちらは事務、配達の人も含めた「医薬品卸」で働く全体の平均年収です。

では「医薬品卸」の中のMSの年収の相場はどれくらいでしょうか?
・20代 300万~400万
・30代 400万~500万
・40代 500万~600万
・50代 600万~700万
「この年収って仕事内容と比べて高いのかな?」
そう思う人も多くいるのではないでしょうか?
私が現役MSのときにはこう思っていました。
「同世代の人と比べて仕事のわりには年収低くね?」
本記事ではあらゆる角度からMSの年収が他と比べて良いのか悪いのかを解説していきます。
コンテンツ
現役MSに年収を聞いてみた「あなたの年収どれくらい?」
年齢:28歳 地場卸の現役MS
年収:380万円
年齢:32歳 地場卸の現役MS
年収:400万円
年齢:32歳 広域卸の現役MS
年収:440万円
当然と言えば当然ですが、話を聞いて分かったことは、広域卸で働くMSの方が年収は高いです。
一般的に大企業の方が年収が高いんですが、医薬品卸にもそれがあてはまるってことですね。
地場卸とは特定の地域のみで事業展開している医薬品卸のことです。
広域卸とは全国展開している医薬品卸のことです。
私も26歳で地場卸を退職しましたが、その時の年収は360万でした。
今も昔も医薬品卸の年収は変わっていないことがわかります。
MSの年収を日本人の年代別年収と比較してみた

MSの平均年収は日本人男性の平均年収と同じくらいということがわかります。
ではより具体的にインタビューした一人目のMSと比べてみます。
年齢:28歳 地場卸の現役MS
年収:380万円
朝は8時に出社して帰りは19時。
今回もdodaのサイトを使っていきます
日本人男性28歳の平均年収を調べてみると・・・
415万円!!

さきほどのMSの年収は380万円だっだので、その差は35万円です。
20歳、21歳も含まれる日本人男性平均年収と比べるとあまり変わりませんでしたが、同じ年齢で比べると低いということがわかりますね。
私が現役MSで働いていたときも同じような感覚がありましたので、あながち間違ってはいないと思います。
MSの年収を医療業界で働く人と比べてみた
次は医療業界の中で比べてみます。
以下の順位もdodaのHPより引用しています。
1位 医薬品メーカー 629万円
2位 医療機器メーカー 549万円
3位 診断薬/臨床検査機器/臨床検査試薬メーカー 532万円
4位 バイオ関連 501万円
5位 CRO/SMO/CSO 487万円
6位 医療コンサルティング 470万円
7位 大学/研究施設 434万円
8位 医療機器卸 414万円
9位 医薬品卸 396万円
10位 病院/大学病院/クリニック 356万円
dodaホームページ https://doda.jp/guide/heikin/gyousyu/#anc_job_05
医薬品卸全体の平均年収として算出されていますので、これがMSの平均年収と言うわけではありませんが、相対的に低いということが分かります。
病院/大学病院/クリニックが10位なのは違和感がありますが、おそらくこれは医師や薬剤師は入っていないものだと思われます。
医療業界で働く社会人の中でもMSの年収は決して高くない、むしろ低いということがわかってきます。
そしてなんと言っても医療業界の中では製薬会社の年収が一番高いということです。
MRの年収についてはこちらの記事で解説しています。
MSの年収は仕事内容と比べて高いのか?低いのか?
絶対に低い!
もらっている年収を比較する上で大切なのは仕事内容と比例しているか?という視点です。
今回は定時に帰ることができると有名な地方公務員と比べてみます。
地方公務員の年収は以下の通りです。

次席合格元県庁職員シュンの公務員塾HPより引用
28歳~31歳のゾーンの平均年収は470万円です。
公務員の勤務時間は9時から17時15分ですので8時間15分です(休憩時間も含めます)。
インタビューした28歳のMSの勤務時間は8時から19時ですので、11時間になります。
年齢:28歳 地場卸の現役MS
年収:380万円
朝は8時に出社して帰りは19時。
単純に時給計算をしてみると
公務員の時給 約2,400円!!
MSの時給 約1,400円!!
1,000円も安いじゃないの!!
こう思う人もいると思います。
「MSの仕事内容が楽だから安いんじゃないの?」
そんなことは決してないです。
経験しているからこそ分かりますがMSの仕事は大変です。
会社によっては精神的に追い詰められます。
月末の詰め、回収、薬価改定の見積作業など、決して楽な仕事ではありません。
MSから地方公務員に転職した知人が言っていました。
「MSの仕事と比べれば公務員の仕事は楽勝だ」と・・・。
MSの年収が低い理由
ずばり利益率の低さです。
こちらは主要医薬品卸の2021年3月期の決算発表資料です。

医薬品卸の利益率は1%もしくはそれを切っています。
医薬品卸最大手のメディパルは売上高が3兆円を超えているのに、営業利益はたった386億円しかないんですよ。
これを見てどう思いますか??
メディパルHDと同じ規模の売上高がある車メーカーのスズキの営業利益は1,600億円です。
製薬会社の武田薬品工業も3兆円ほどの売上ですが、営業利益は2,418億円です。
どう考えても低い!!
つまりMSの年収が低い原因は医薬品卸の利益率が低いからなんです。
医薬品卸の利益率が低い理由はこちらの記事で解説しています。
利益率を改善しようと医薬品卸は過度な値下げを避けて適正な価格で医薬品を流通させようと頑張っています。
しかし、JCHOの談合問題以来、過度な価格競争が起きています。
これはどういうことを意味するのかというと
利益率がますます下がってしまう恐れがあると言うことです。
そうなると合併などを繰り返し、減り続けてきた卸がさらに減り
最悪は倒産する地方卸が出てくる可能性があります。
実際に医薬品卸企業の数も1978年と2019年を比較すると約1/9になっています。

最近は製薬会社からのアロワンスが減ってきています。
どう考えても利益率が劇的に上がることは考えにくい状況です。
【MSにも聞いてみた】MSの年収について現役MRが解説のまとめ
今回はMSの年収について解説いたしました。
仕事ってお金だけではありませんので、これだけで仕事の良し悪しを判断できません。

だけど、やっぱり仕事の対価としてもらう給料が高いことに越したことはありませんよね
MSの方は絶対にMRへの転職をおすすめします。
なぜおすすめするかというと、MS経験者の多くはMRに転職後、優秀な成績を残す上に、年収が確実に上がります。
・そもそも仕事のやり方を知っている
・MS経験者はフットワークが軽い
・卸で経験してきた数字へのこだわりが強い
MSとして働き続けるより希望が持てます。
ただ、製薬会社の正社員MRに転職する事が難しくなっていますので、まずはコントラクトMRを目指すのが近道で現実的です。
MSからMRになるためには良い転職サイトに登録する事が不可欠です。
お忙しいところ最後まで読んで頂いてありがとうございました!!
こんにちは、きよまさです。私は医薬品卸で数年間働き、その後内資系製薬会社→外資系製薬会社に転職した現役MRです。