こんにちは、きよまさです。
以前三重大学の不正請求事件に関する記事を投稿しています。
この事件のポイントはこうです。

まさかMRが本当に逮捕されるとは思いもしませんでした
世間が医者と製薬業界の関係性をさらに厳しくみることになるはずです。
この事件をきっかけにこれから起こることについて解説していきます。
コンテンツ
MRがどう関わったのか?
当時の麻酔科の教授から奨学寄付金を要求されていたはずです。
大学病院を担当していれば分かると思いますが、大学側から寄付金の依頼はあります。
大学のホームページにも寄付金の募集が掲載されていますしね。
昔は営業サイドが寄付金に関与していましたが、今はそうではありません。
営業サイドが寄付金に関与すると
自社品の売上UPのために寄付金を出すという下心がどうしても出てきます。
そういったことを防ぐために
今はほとんどの製薬会社で寄付金に関する業務に営業サイドは一切関わらないようになっています。
今回の事件では営業サイドが関与していたとして逮捕されています。
ここで疑問なのですが、

MRが「関わった」だけで逮捕されるか?
ということです。
小野薬品では寄付金に関して営業とは切り分けられた部門が取り扱っています。
しかしこの事件では営業サイドが関わっていた。
これだけなら社内での懲罰だけで済みそうですが、今回は逮捕されています。
なぜ逮捕されたのか?
不正請求に「間接的」に関わっていた
MRが不正請求のどこで関わったのか?
今回の報道から分かった事件の概要はこうです。
①教授から寄付金の依頼があった
②小野薬品から寄付金の振り込み
③カルテの改ざんを行って不正請求
①のポイントはよくあることで、刑事罰には全く問われません。
②のポイントも何も悪いことではありません。
ただし社内で営業とは完全に切り分けられた部門が行うようになっているのにも関わらず、営業サイドが関わっていたという矛盾が生じています。
もしすべての国公立大学でMRを組織的に関与させていたとなると会社の信頼性に関わってきますので、大問題です。

そんなことはないと信じています
③は絶対ダメです。
ここが発覚して、三重大学の元教授らが逮捕されました。
しかしここで小野薬品側が関われるのか?
MRが直接不正請求を指示したのか?

それもないと思います
具体的に不正請求を指南していたとすればこれはもはや極悪人です。
普通に考えれば有り得ません。
ただし、今回逮捕された小野薬品の社員は不正請求の件を知っていたんじゃないかな。
逮捕された教授や准教授以外の関係者からこの件を知らされたんだと思います。
そしてそれを上司に報告したが、売上減や取引停止になるのが怖くて、見て見ぬふりをするように上司が指示した。
こう考えるのが妥当です。
この一連の流れの中で検察側がどこを問題視したのか?
「不正請求事件の起点」が逮捕される決め手になったのではないか?
この事件がなぜ起きてしまったのか?
結局元をたどれば、小野薬品がオノアクトの使用量を条件として寄付金を付与したことです。
これがなければ麻酔科側もこんなリスクのある行為などしていません。
小野薬品が不正請求に直接関与しているわけではないです。

しかし、寄付金の交渉がなければ、こういった事件は起きなかった
麻酔科ってどの大学も寄付金集めには苦労しています。
麻酔って既存薬でアンメットニーズがある程度満たされているので製薬会社が新薬を開発する意欲はそこまで大きくありません。
むしろ無いかもしれません。
だから寄付金が集まりません。
自社品の売上をUPさせるために相手の弱みに付け込んだとは思いたくありませんが
そう思ってしまいます。
だけどオノアクトって最主力品ではないのになぜ?
MRの売上目標ってだいたいこうなっています。
・製品ごとに目標が定められている
・製品ごとの目標に加えて、自社品の総売上高目標が定められている
内資系製薬会社は「製品ごとの目標に加えて、自社品の総売上高目標が定められている」ことが多いです。
小野薬品も生粋の内資系製薬会社ですので、そうなのかしれません。
であれば、最主力品ではないオノアクトの売上もオールグロスの評価に入ってきます。
オノアクトの数字が上がれば、MR、支店としての評価が上がる。
主力領域ではない麻酔科に研究してもらいたいわけではないのに
寄付金を振り込むための理由としてオノアクトの使用量を条件とした。
本来の寄付金の目的ではない理由でお金が振り込まれた。
おそらくここを検察側が問題視したんだと思います。
今回の事件が製薬業界に与える影響
今回の事件では寄付金を営利目的とした行動が問題です。
この事件を受けて、奨学寄付金にMRが関わることはすべての製薬会社で禁止になると思います。
もしかすると寄付金自体を禁止するかもしれません。
その代わりに完全な公募制になり、そして研究に対して紐づけられた研究費用だけにお金を出すことになると思います。
つまり教室側が柔軟に寄付金を使えなくなり、質の高い研究にしか製薬会社は寄付金を与えない。
こうなってくると論文を全く書かない教室、アンメットニーズが低い研究しかしていない教室は完全に資金不足に陥ります。
そうなると研究ができなくなる。
こんな悪循環に陥ります。

解決策は
真に求められる基礎研究や臨床試験をプロトコールし、質の高い成果を出せる教室に変わるしかありません。
今回の事件は製薬会社の寄付金の在り方を改めて考える流れを生むと思います。
小野薬品の社員が逮捕された事件からこれから起こることのまとめ
今回の事件は衝撃的でした。
MR試験の教科書に掲載されるほどのインパクトを持っています。
大学病院を担当している小野薬品のMRの人たちはこれから大変かもしれません。
逮捕された社員の行動は同じMRとして分からなくもありません。
しかし、超えてはいけない一線を越えたらアウトです。
今回の事件を教訓に真に求められるMRになりたいものですね。
お忙しいところ最後まで読んで頂いてありがとうございました!
■麻酔科の准教授がオノアクト(抗不整脈薬)を実際には使っていないのに患者に投与したかのようにカルテを改ざん
■この一連の事件にMRも関わっていた