MSとMRの違いを解説します【両方経験したからこそ分かる!】

「MSとMRって何がどう違うの?よく分からないんだけど」

本記事ではMSとMRの違いについて詳しく解説していきます。

本記事を書いている人

医薬品卸で数年間働き、その後内資系製薬会社→外資系製薬会社に転職しました。
MSとMR、どちらも経験しています。

MSとMRの違い

■MSは医薬品の流通に関わる仕事、MRは情報提供の仕事がメインです

■MRの方が給料や福利厚生がいい

■MRは全国転勤が基本です

MSとMRの違い【仕事編】

MSとは?

医薬品卸業者の営業マンです。

その営業マンがMSと呼ばれています。

MSとはマーケティング・スペシャリスト【Marketing Specialist】の略です。

企業はメディセオ、スズケン、アルフレッサ、東邦などが有名です。

医薬品卸は発売されているすべての医薬品を取り扱います。

スーパーなんかと同じで、メーカーから品物を仕入れ、それを販売する仕事です。

「すべての医薬品を取り扱うってことは大衆薬なんかも売っているの?」

取り扱っています。

ただし、売上のほとんどは処方せん医薬品です。

医薬品には医師が作成する処方せんがなければ販売できない処方箋医薬品と、処方せんがなくても薬剤師による販売が可能な医療用医薬品の2種類があります。

「処方せんって何?」

あなたが風邪をひいたとき、病院から薬局に持っていく処方された薬が書かれている紙のことです。

医薬品卸は主に薬局(マツキヨなどの大型店ではなく、クリニックの前によくある薬局)に医薬品を売るビジネスです。

「なぜマツキヨみたいな大型薬局には売らないの?」

処方せんを持った患者さんがほとんど来ないからです。

あなたが風邪をひいた時、クリニックを受診したあとは目の前にある薬局に行きますよね?

お薬代で支払うお金はどの薬局でも全く同じです。

すべての医薬品は国が薬価を定めています。

この薬価は全国共通ですので、どこで薬をもらおうが支払うお金は全く同じです。

わざわざクリニックから遠く離れたマツキヨなどの大型薬局に行く必要性は全くなく、クリニックの近くにある薬局に行くっていのが患者さんの導線です。

整形外科のクリニック近くにある薬局にはそのクリニックからたくさん処方されるシップや痛み止めが豊富にそろっています。

皮膚科のクリニック近くにある薬局にはかゆみ止めやアレルギー薬が豊富にそろっています。

だから患者さんはクリニックの近くにある薬局に行くって感じです。

そしてその薬局に医薬品を届けているのが医薬品卸であり、その営業マンがMSです。

そう考えるとMSってどういう仕事をするのかが見えてきます。

MSの仕事

医薬品卸は日本に70社も存在します。

全国展開している卸もあれば、1県のみで展開している卸もあります。

あなたがどこの医薬品卸に就職したとしても、基本的にMSの仕事は同じです。

患者さんにお薬が届くまでの流れを見てみましょう。

薬局は医薬品卸から医薬品を買います。ここがMSのメインの仕事になります。

「MSって医薬品を配達するだけの仕事なの?」

「それだけではありませんよ!」

MSの仕事

■医薬品の受注

■医薬品の配達

■お金の回収

■価格交渉

それぞれ詳しくみていきます。

医薬品の受注

薬局から卸に医薬品を発注します。

昔はMSが朝から薬局に電話をして、その日に必要なお薬を聞いて、それを持っていくことがほとんどでした。

しかし今では多くの薬局が自動発注システムを使って、在庫が少ないお薬を自動で卸に発注しています。

MSの仕事としてこの医薬品の受注はほとんどなくなっています。

ただし、一部の薬局ではMSが朝から電話をしているところもあります。

「MSさんに直接注文したい!」って薬剤師もいるんですよね。

医薬品の配達

受注した医薬品を薬局に配達します。昔はMSが配達していましたが、今では多くの卸がMSとは別に配送専門の人を雇っています。

そのため、MSが配達をしている会社は珍しくなってきました。

ただMSによってはあえて自分で配達する人もいます。

「なんで配送員がいるのにわざわざ自分で配達するの?」

「訪問する目的が欲しいからです」

昔は配送員がいなかったので、MSが自分で医薬品を配達していました。

これって訪問する目的がある状態ですよね。

配達を兼ねて訪問して、そこで薬剤師の先生と雑談なんかをして仲良くなっていきました。

だけど配送員がすべて配達するようになると、訪問目的を作らないといけません。

「訪問目的は医薬品情報の提供でいいじゃん」

そんなに毎日情報提供するネタもないんです。

MSにとって意外に医薬品の配達って営業に使えたりするわけなんですよね。

お金の回収

薬局が医薬品を買った分だけのお金を回収しなければいけません。

私たちがクレジットカードで買い物をしたとき、翌月に買い物をした分のお金を支払うのと同じです。

ただし、今は多くの薬局で銀行口座からの自動引き落としになっていますので、MSが直接お金をもらうなんてことはほとんどありません。

昔は月末に先生や薬局長から現金や手形で何百万のお金をMSがもらうってことも多くありました。

私が現役MSの時もそういう得意先がありました。

頂いたお金を会社に持って帰るまではマジで周りを警戒しまくりでした。

強盗集団に襲われたら一撃で奪われる自信がありましたら笑。

MSがお金を回収するってことは今ではありません。

ただし、支払いが悪い薬局にもっと支払うように交渉する仕事は今もあります。

「翌月一括払いだから支払いの交渉とかいらなくない?」

医薬品卸の慣習で、薬局は一括払いしなくてもいいんです

これどういうことかと言うと、例えば100万円分医薬品を買ったとします。

薬局は翌月に全額支払う必要はないんですよ。

買った分の50%でいいですよとか、33%でいいですよって感じです。

「支払い利息が付いて薬局にとってはマイナスじゃん」

普通はそう思いますよね。

これが医薬品卸のすごいところで、薬局の残高に対して利息0%なんです。

だから現金を残すために、医薬品卸への支払いをおさえることが可能なんです。

そんな慣習が残っていますので、支払い率を下げまくってくる薬局があるんです。

卸にとっても、売った医薬品のお金はしっかり回収しなければ経営が苦しくなります。

倒産でもされたら敵いません。

支払い率が悪い薬局に対しては

「もうちょっと支払い率を上げてよ~」

って感じで交渉することが必要です。

この仕事は正直きっついです。お金に関することは相手もナーバスですからね。

慎重に交渉していく必要があります。

相手を怒らせて取引停止でもされたら売上が全部ぶっ飛びますから。

価格の交渉

「薬の値段は国が決めているから価格交渉する必要ってないんじゃないの?」

ここでいう価格の交渉とは薬自体の値段ではなく、薬の卸値のことです。

例えば、あなたが新品のニンテンドースイッチ本体を買うとします。

A店では20,000円で売られています。

B店では25,000円で売られています。

どっちから買いますか?

全く同じものなので、当然A店から買いますよね。

同じような感じで、あなたが薬局のオーナだとして100円の薬価のお薬をA社は80円、B社は90円で提示してきたとすると、どちらから買いますか?

A社ですよね。

通常、薬局は複数の医薬品卸と取引しているので、MSは他の卸に負けないように価格交渉をします。

薬局にとっては卸値が下がれば下がるだけ利益になるので、価格競争は大歓迎です。

ただすべての医薬品の価格競争が起きているかと言うとそうではありません。

医薬品すべてを価格交渉していたらMSは疲弊して死んでしまいます

病院やクリニックで処方がたくさん出るような医薬品中心にこの価格競争が起きます。

そりゃそうですよね。

卸も売上になるし、薬局にとっても利益になります。

そして最近ではこの価格競争が激しくなっており、医薬品卸の利益率が悪化しています。

このままいくと医薬品卸の経営悪化が進んでいくはずです。これに関してはこちらの記事で解説しています。

この記事を読んでいるひとでこう思う人もいるかもしれません。

「卸値が同じだったらどうするの?」

あなたが薬局のオーナーだとして100円の薬価のお薬がA社もB社も80円だった場合、どうしますか?

おそらくこう思うはずです。

「日ごろから頑張っているMSの方から買うんじゃないかな」

価格交渉も大事な仕事ですが、やはり日頃の営業活動も頑張る必要があるんですよね。

「少しくらい高くても君のところから買うよ」

これが理想です。

MRの仕事

MRとは?

製薬会社の営業マンです。

医療情報担当者とも呼ばれています。

MRとはメディカル・レプリゼンタティブ【Medical Representative】の略です

医薬品の適正使用のため、医療従事者を訪問し、自社医薬品の情報提供を行います。

こちらも女性のMRが年々増えてきており、ママさんMRも増えてきています。

ただ女性MRがもっと柔軟に働けるような仕組みの構築が必要だと思います。

➢ママさんMRの大変さについてはこちら

➢女性MRがキャリアプランを描くことが難しいことについてはこちら

MRは自社医薬品の情報提供が仕事のメインになってきます。

薬のことだけではなく自社医薬品に関わる最新の国内外のガイドラインやエビデンスを勉強し、先生たちに情報提供します。

治療方針を把握したり、困っている患者さんの治療法を一緒に考える必要もあります。

特に画期的な新薬が出たときは先生たちからのニーズも高いので、仕事のやりがいが大きいものです。

「でもコロナ禍で先生たちとなかなか会えないって聞いてるけど?」

「そうなんです。以前よりも先生方と対面で面会することが難しくなっています」

MRがやらなければならない仕事内容は変わらないんですが、オンラインを取り入れた活動が増加しています。

コロナ禍で変わったMRの一日の仕事内容はこちらの記事で解説しています。

MRの仕事内容

MSにあってMRにはない仕事

MSにあってMRにない仕事が以下です。

MSにあってMRにない仕事

医薬品の受注、医薬品の配達、お金の回収、価格交渉

きよまさ

価格交渉権がない営業マンはMRくらいだと思います

しかし昔はそうではありませんでした。

MRは「プロパー」と呼ばれ、価格交渉を行っていたという歴史があります。

ただMRが価格交渉権を持つことの弊害が問題となりました。

「なんで問題になったの?」

過剰な値引きやセット販売などが行われていたからです」

セット販売とは大量の医薬品を購入するかわりに高級品を無料で贈呈する販売方法

プロパー

1万錠だと薬価の半額で買えますがいかがですか?

プロパー

10万錠買っていただくと高級時計を無料贈呈できますがいかがですか?

「今では全く考えられません」

こういったことが日常茶飯事に行われていました。

当然、この過剰な営業は社会的な批判を受けます。

こういった背景から厚労省が医薬品の価格交渉権を製薬会社からはく奪したという黒歴史があります。

そして以前までは接待もありましたが、今では一切ありません。

今のMRは基本的には自社医薬品の適正使用を普及させる仕事のみです。

適正使用を普及させるために、先生たちに有効性や安全性の情報提供をあらゆる手段を駆使して行っていきます。

MSとMRの違い【給料編】

「給料はどっちがいいの?」

「MRの方が圧倒的にいいです」

MSの年収についてはこちらの記事で解説しています

MRの年収についてはこちらの記事で解説しています。

給料の違いの大きな要因は製薬会社と医薬品卸の利益率の違いです。

医薬品卸の利益率が低い原因についてはこちらの記事で解説しています。

他にも福利厚生などはMSよりもMRの方が手厚いです。

代表的なのが営業日当です。

この営業日当は営業経費に計上されるので、なんと非課税です。

製薬会社によってその金額のバラツキはありますが、多いところで4,000円~5,000円ほど支給されています。

給料とは別に毎月約50,000円~80,000円ほど上乗せされます。

しかも非課税なのでそのままお金が入ってきます。

そして社宅手当も充実しており、家賃の70%~80%を会社が負担してくれます。

例えば10万円の家賃のマンションに2万円で住むことが出来たりします。

他にも退職金制度が充実していたり、外資系ではボーナスが大きかったりします。

一方でMSには製薬会社ほど福利厚生が充実していません。

というか製薬会社が充実しすぎているから、比較の対象にしてはいけないんだと思います。

MSとMRの違い【有給休暇編】

働くうえでワークライフバランスは大事です。

MSよりもMRの方が有給休暇を取得しやすい環境です。

私がMSの時は4年間で病気になった時しか有給休暇を取得できませんでした。

ただ今の時代は年間5日以上有給休暇を取得しなければ会社が罰せられるので、そんなことはないと思います。

しかし、MRとMSどちらが有給休暇を取得しやすいかと言うと、確実にMRです。

MRは医師に情報提供することが仕事のメインです。

毎日医師に情報提供をしないといけないわけではありません。

MRは自由に時間を使うことが出来ます。

あらかじめこの日とこの日は有給休暇を取得すると決めて面会のアポイントなどをスケジュールすれば、計画的に有給休暇を取得できます。

きよまさ

私も毎月1回以上は有給休暇を取得するようにしています

また年末年始、ゴールデンウイークなどの大型連休もしっかりと長期休暇をとることができます。

最近はコロナ禍なのでありませんが、大型連休を使って海外旅行に行くMRも多いです。

これは内資系、外資系問わずにそうです。

「なんでMSは有給休暇をとりにくいの?」

基本的にMSは毎日のように朝から会議が入っています。

製薬会社との会議、MRから医薬品の説明、社内会議などなどです。

MRとは違い、病院や薬局に毎日訪問をすることが基本です。

他にも今では少なくなりましたが月末の詰めなどもあります。

月末の詰めとは毎月の売上目標を達成させるためにいつもより多めに医薬品を買ってもらうように薬局と交渉すること

こういった背景からMSはMRよりも有給休暇を取得しにくいんですよね。

MSとMRの違い【転勤編】

転勤は人生にとって大きなものです。

子供が小さいうちは家族全員で引っ越すことができますが、中学生、高校生だと家族全員で引っ越すこともままなりません。

そうなると単身赴任になります。

転勤はMSもMRも同じようにあります。

すべての製薬会社は全国展開しているため、MRの方が全国規模での転勤が多いです。

一方で医薬品卸はグループで展開している会社や地場卸も多く、所属している会社の営業所や支店間を異動するMSが多いです。

九州のグループ卸であれば、九州内で異動します。

とは言え、転勤というのはMRもMSもあり、どちらも単身赴任をしている方は多いのが現状です。

MSとMRの違いを解説【両方経験したからこそ分かる!】のまとめ

あなたが就活生ならどちらを選びますか?

・給料は高い方がいい

・全国転勤でも大丈夫

・専門性を身につけたい

こういう人はMRの方が向いています。

ただ肝に銘じてほしいのはMRも営業マンであるということです。

MSもMRも営業マンである以上、売上目標を達成させなければいけません。

新薬が出れば会社から病院の採用状況を追及されたり、症例数や売上を追われたりして、精神的にきついことが多々あります。

KOLや教授など影響力があり偉い先生たちの面会では精神的な負荷もかかってきます。

「結局どっちがいいの?」

MSとして働いていた過去と現在MRで働く身からの意見として思うことは

「MRを目指した方がいい」ってことです。

就活生は製薬会社の入社試験を受けるべきだし、医薬品卸で働いているMSは若いうちにMRに転職したほうがいいと思います。*個人的な見解です*

就活生で気を付けてほしいのはネットに転がっている「製薬会社の就職偏差値」を信じてはいけないってことです。こちらの記事で詳しく解説しています。

現役MSの人はコントラクトMRを目指すのが現実的です。

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お忙しいところ最後まで読んで頂いてありがとうございました!

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