「コントラクトMRって厳しいのかな?」
「コントラクトMRのメリット・デメリットって何だろう?」
「コントラクトMRの年収ていくらくらいかな?」
MR未経験者がMRに転職する方法はコントラクトMRを目指すと言うのが最も近道です。
そこで今回はコントラクトMRのメリット・デメリット、気になる年収について記事を書いていきます。
なお本記事はシミックアッシュフィールド、アポプラスで働く現役MRの方にインタビューした内容をもとに書いています。
■未経験からコントラクトMRになった時の想定年収
400万~500万
■MR経験者がコントラクトMRになった時の想定年収(経験により異なる)
20代後半で500~600万円
30代前半で600~700万円
こんなコントラクトMRの人は厳しいよってことはこちらの記事で解説しています。
コンテンツ
製薬会社にMRを派遣するCSOとは?
製薬会社にMRを派遣する会社のことをCSOと呼びます。
CSOとはContract Sales Organizationの略で、日本語で医薬品販売業務受託機関と言われています。製薬会社にMRを派遣する業務以外にも、医薬品の営業・マーケティング活動のアウトソーシングサービスも提供したりしています。
日本CSO協会に加盟している会社は以下の通りです。
・IQVIAサービシーズ ジャパン株式会社
・アポプラスステーション株式会社
・株式会社EPフォース
・サイネオス・ヘルス・コマーシャル株式会社
・シミック・アッシュフィールド株式会社
そしてCSOに所属しているMRをコントラクトMR(CMR)と呼びます。

コントラクトMRはCSOの正社員として製薬会社に派遣されます。
「派遣社員ってこと?」
雇用形態はCSOの「正社員」になるので「派遣社員」ではありません。
そのため、雇用は安定しています。
俗に派遣切りといわれる派遣社員ではありません。
製薬会社のプロジェクトが終われば、また違う製薬会社のプロジェクトで働きます。
万が一プロジェクトがなかった場合はプロジェクトが見つかるまで待機します。
プロジェクトがないからと言ってクビなんてことはありません。
CSOの会社は大手から中小まで様々です。
各CSOの従業員数は以下の通りです。

IQVIAサービシーズジャパン株式会社はグループ全体の従業員数です
日本 CSO 協会に所属する CSO 企業 6 社のMR数(2019年度)は以下の通りです。


2014年をピークに減少し続けていましたが、2019年は一転して増加しています。
これは新薬需要やフレキシブルなリソースとしてニーズが高まったからになります。
しかし、日本のMR全体に対するコントラクトMRの占める割合は5.8%に留まっています。
英国では13.0%、ドイツは16.9%、アメリカは12.0%と、海外と比べると低いのが現状です。

これから各製薬会社のMR数が縮小することと、コントラクトMRの需要UPで将来的には海外並みの比率になってくると予想されています。
またCSOの会社はMRを派遣するだけではなく、MSLやエデュケーショナルナース(臨床経験のある看護師が、Peer to peer で実践的に治療アウトカム向上を支援)を派遣しており、CSOを活用する企業数も増えています。
2019年時点で130社もの企業がCSOを活用し、年々すそ野が広がってきています。
今後は海外のようにマルチチャネルサービスやバーチャルファーマでの活用が増加することが見込まれているため、この傾向は今後も続いていくと思います。
コントラクトMRのメリット

ここからはコントラクトMRのメリットを紹介します。
①たくさんの領域を経験することができる
コントラクトMRは製薬会社の正社員MRよりも多くの領域を経験できると言うメリットがあります。

実際に一緒に働いているベテランのCMRの方は、知識が豊富でいつも勉強させてもらってます
自分の希望する領域を会社に伝え、その希望領域のプロジェクトがあれば、経験を積むことができます。
これはMRのキャリアを考える上では大きいメリットになります。
製薬会社の正社員MRでは経験したい領域そのものがなかったり、あったとしてそこに異動することはとても難しいものがあります。
多くの領域を経験できるメリットはコントラクトMRの方が実現しやすいんです。
②転勤なしの働き方ができる

MRは全国転勤が基本です。
製薬会社によっては地域限定制度を導入しているところもありますが、まだまだ少ないのが現状です。
一方でコントラクトMRは希望勤務地を叶えることができます。
ただし、未経験からコントラクトMRに転職するときは「全国転勤可」で応募しましょう。
CSOに入社し、MR資格を取得してからは希望勤務地を叶えることが可能です。
一方でMR経験がある方は希望勤務地限定で入社することができます。
「なんで希望勤務地で働くことができるの?」
MRにプロジェクトの途中で辞めてほしくないからです
製薬会社に派遣したコントラクトMRがプロジェクト途中で辞められるとそのMRを派遣したCSOの信頼度が落ちてしまいます。
信頼度が落ちると製薬会社から新しいプロジェクトを依頼されなくなるかもしれません。
CSOの成功要因は「どれだけ製薬会社からプロジェクトを依頼されるか?」になるので、ここの数が減ることは致命的です。
だからコントラクトMRの希望に沿えるようなプロジェクトを用意してくれるということになります。
③社内のストレスが少ない

コントラクトMRの給料は派遣される製薬会社からもらうのではありません。
派遣元のCSOから給料をもらいます。
「じゃあ、コントラクトMRの給料評価ってどうなってるの?」
「派遣された製薬会社の上司からのアンケートなどで評価が決まります」
つまり売上目標を大幅達成してもボーナスは変わりません。逆に数字を残さなくても変わらないということです。
ただし派遣された製薬会社に正社員MRとして転職することを目指している人は、数字も見られますので、注意してください。
また、年配のMRの方であるあるだと思いますが、年下の社員がいきなり上司でやってきて、理詰めで激しい追及をされる・・・。
こんなストレスからは解放されます。
正社員MRだと耐えるしかないんですが、コントラクトMRの場合は、プロジェクトが終われば、それも終わりです。
CSOの上司と直接会うのは半年に1回程度なので、そこのストレスもあまりありません。
④MR以外の職種にもチャレンジする事ができる

製薬会社の正社員MRでMR以外の職種に異動することは並大抵のことではありません。
MSLや学術、本社に異動願を出していても誰もが目を引く実績を求められたり、タイミングが合わなければかないません。
たとえ優秀でも上司が裏でとめたりします。
いま、CSOは勢いがあります。
MSLやマーケ、治験部門などにも勢力を拡大しています。
製薬会社も正社員を雇うより低コストのアウトソーシングを活用した方が効率的です。
MR以外の職種にチャレンジできる環境はCSOの方が整っています。
コントラクトMRのデメリット

ここからはコントラクトMRのデメリットをご紹介します。
①製薬会社MRと比べると年収が低い
あくまでも製薬会社の正社員MRと比べるとってことです。
コントラクトMRの年収は下で解説していますので、すぐに知りたい方は飛ばしてください。
とはいえコントラクトMRの年収は一般的には高い方なので未経験からコントラクトMRになる場合は、年収が上がる人が多いと思います。
一方で現役MRの方がコントラクトMRに転職すると年収減、よくても現状維持です。
現役MRはコントラクトMRのメリットと年収を天秤にかけてどちらが良いのか?を考える必要があります。
年収1,000万をすでにもらっているMRがコントラクトMRに転職した場合、良くても600万円~700万円が妥当です。
ひょっとすると500万~600万のレンジになる可能性もあります。
②派遣先の製薬会社のシステムに慣れるのが大変
コントラクトMRの方は口を揃えて言います。
そりゃそうですよね。
例えば去年はアステラス製薬、今年からファイザーってなれば、社内のシステムが全く異なります。
副作用報告、日報、経費精算などなど。
派遣された製薬会社のシステムにようやく慣れたころにプロジェクト終了なんてこともあります。
③二重報告をしなければいけない

CSO側にも日報、週報、月報を報告しなければいけません。
同じような報告を違うシステムを使って二重にしなければいけないのは相当面倒くさそうです。
ただし、ベテランのコントラクトMRの方に聞くとCSOに報告するシステムは慣れれば楽勝で、それよりも派遣された製薬会社のシステムに慣れるのが大変みたいですね。
MRの入力系システムは製薬協ですべて統一してくれないですかね笑。
ただし日報を入力するVeevaってシステムは評判が良くないみたいですね・・・。
④派遣された製薬会社の都合で急にプロジェクト終了することがある
せっかく派遣された会社の雰囲気にも慣れ、派遣先の上司とも関係性を築けてきたのに、製薬会社の都合でプロジェクト終了ってことがまれにあります。
以前、とある外資系会社がその会社に派遣されているコントラクトMRを全員プロジェクトを終了させたってこともあります。
よく起こることではありませんが、ごくまれにあります。
「なんでそんなことが起きるの?」
・派遣される製薬会社のパイプラインが失敗した
・派遣されるプロジェクトの売上が全く伸びない
・他社を買収するなどで急に巨額な資金が必要になった
こんな理由が考えられます。
ちなみに以前、派遣されているコントラクトMRをすべて契約終了したケースは「有望な新薬の開発の失敗」です。
コントラクトMRの年収は?

製薬会社はとても恵まれた環境です。
ご覧のように営業職の中でも最も年収が高い職種です。

こちらの統計は製薬会社の正社員MRの平均年収です。
ではコントラクトMRの平均年収はどれほどなのでしょうか?
未経験からコントラクトMRになる場合
額面の年収は400万~500万です。
MR未経験からスタートした時の額面の年収は400~500万ほどになります。
日本のサラリーマンの平均年収は46.4歳で440万円なので、若くても46.4歳のサラリーマン並の年収を手にすることができ、経験年数を重ねていくことでさらに年収を上げていくことができます。
ただし、会社の規模によって年収の高低があり、大手CSOほど年収が高いです。
そして製薬会社のMRは年収以外にも非課税の営業日当がありますが、コントラクトMRでもこの営業日当は支給されます。
年収に加えて月に3万~5万円ほど非課税で支給されるため、上記の年収に約30万~60万ほどが加わってきます。
さらに住宅手当も他業界に比べて充実しています。
CSOによって家賃の上限が違いますが、良いところで家賃の7~8割を会社が負担してれます。

異業界から転職してきた人はこれほど恵まれた業界はないと口を揃えて言います
「20代半ばから30代前半になったけど、いまだに年収が400万円に到達していない」あなたがCSOに入社しコントラクトMRになれば、400~500万円の年収と好条件の福利厚生をGETすることができます。

年収UPが期待できますね!
MR経験者がコントラクトMRになる場合
20代後半で500~600万円
30代前半で600~700万円
製薬会社の正社員MRは大手になればなるほど高い年収をもらっているので、大手製薬会社からCMRに転職するとおそらく年収ダウンになります。
退職金がない会社もあるので、コントラクトMRを目指す際はそのあたりをしっかりと情報収集することをおすすめします。
一方で後発品メーカーや中堅メーカーのMRは年収がUPする可能性があります。
日医工や小林化工問題などで後発品に対する世間の目も厳しくなっていますし、新薬を創出できない中堅メーカーも今後はかなり厳しい環境となってきます。
・後発品をプロモーションしている
・開発パイプラインに有望な新薬がない
・未だに長期収載品が主力
一つでも当てはまれば、コントラクトMRになるという選択肢はありだと思います。
特に後発品メーカーで働いている人は転職することをおすすめします。
コントラクトMRのキャリアアップについて

正社員MRの一般的なキャリアアップは社内で出世をしていくのが一般的です。
MR→所長→支店長→営業部長
MRは好待遇の職種なのでわざわざストレスMAXの管理職にならなくていいかもしれません。
➢管理職になるメリットよりもデメリットの方が多い!についてはこちら
コントラクトMRのキャリアアップの王道は
コントラクトMRのスペシャリストになる
もしくは
CMRとしてある程度経験を積んで製薬会社の正社員に転職する
と言うのが王道です。
もちろん社内で出世していくと言うキャリアもあります。
製薬会社から受注したプロジェクトをマネジメントするプロジェクトマネージャーやCMRをマネジメントするエリアマネージャーです。
実際に私の知り合いもCMRからエリアマネージャーに出世しました。
マネージャーまで出世すると年収は1,000万円ほどになります。
未経験からコントラクトMRになるのは厳しいわけではないよ【コントラクトMRのメリット・デメリット・年収を解説します】のまとめ
コントラクトMRはこれから間違いなくニーズが高まっていきます。
そして一般的なサラリーマンよりも年収が高いです。
オンコロジー(がん領域)やスペシャリティ(希少疾病)、CNS(中枢神経)領域を経験できれば間違いなく市場価値が高まります。
未経験から好待遇のMRに転職するためにはコントラクトMRを目指すことが近道です!
お忙しいところ最後まで読んで頂いてありがとうございました!
こんにちは、きよまさです。医薬品卸で数年間働き、その後内資系製薬会社→外資系製薬会社に転職した現役MRです。